2015年02月01日

暗く辛い一日〜人質事件は最悪の結果を迎えた〜

母は毎朝5時半くらいに起きてお弁当を作ってくれる。まだ暗いキッチンに灯りをつけ、テレビのニュースを聴きながら、卵焼きを焼いたりアスパラのベーコン巻を作ったりするのだ。

しかし、ここ数日は、しんと静寂な中で料理をしていた。
母より遅く起きる私が、
「どうしてテレビをつけないの?」と聞くと、
怖くて見られないと言う。
スイッチを押し、私は素早く画面を確認し、
「大丈夫。まだ交渉中みたいだから」と言うと、
母は少しほっとした顔をして、
「あっ、良かったね」
と言うのだった。

しかし、恐れていたことが現実になった。
早朝、後藤健二さんの殺害が確認されたのだ。

今回の一連の人質殺害事件に関して、ネット上でいろいろな意見が飛び交った。それぞれの立場があり、いろいろな意見があるのは当然だ。各々の生育環境や知的背景や社会的経験値で導き出された意見なのだから。100人いたら100人の意見がある。

どのような意見だろうが一度全てを包括し、改めて、この残虐な行為が行われる意味を考える。例えば、ジハーディ・ジョンと呼ばれる、湯川さんを殺し後藤さんを殺害した英国人男性のことを考える。便利で清潔な英国を離れ、砂漠の乾燥した土地で来る日も来る日も戦闘に追われ、人を何人も殺し殺し殺し・・・そういうことを恒常的に行う人間を考える。その理由を考えなければ、問題の解決にはならない。明日も明後日も、同じようなことが起こる。憎しみの源泉が何かを探る作業が必要だろう。

ジハーディ・ジョンの父親は、1998年のケニアとタンザニアの米国大使館爆破事件に関与したテロの罪状で米国に起訴されている。ISILの兵士の多くは外国人だそうだ。日本人女性がフランス人の夫と共にシラク入りした事実があるし、北大生は出国寸前で日本当局に抑えられている。行為には必ず理由がある。その理由を知りたいと思う。

憎しみの連鎖はISILだけではない。アメリカの空爆はISILをピンポイントで叩けるわけではない。イスラムの人々にとっては米の空爆もある意味でテロの脅威なのである。親を失った子が数年後に銃を担ぎナイフを手にしないとは誰が断言できるのか。

******
後藤健二さんの恐怖と苦しみを想像すると他人の私ですら叫びたいような気持ちになる。ご家族はどんなに辛いことか。地獄だ。テロ行為とはそういう地獄を方々にまき散らすのだ。人の尊厳を奪い、唯一の人生を捻じ曲げ奪う行為である。

それを踏まえて考える。今回、何度も聞かれた「テロに屈しない」という文言である。テロに屈しないという理由で、アメリカ人ジャーナリストをはじめ多くの人質の命が失われた。テロに屈しないために空爆で多くのイスラムの人の命が失われた。「テロに屈しない」とは死と同義なのだろうか。

ぽちりん↓ありがとうございます。

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posted by 雪あらし。 at 23:30| Comment(9) | TrackBack(0) | 日々の出来事。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私もニュースを聞いて、涙が止まりませんでした。
何故、ヨルダンに(イスラム国へではなく)お金を払ってでも、
後藤さんを助けられなかったのか、
ヨルダン人パイロットの命は、
後藤さんの命とは関わり無く脅かされていると、
ヨルダン政府を説得できなかったのか。。。。

こんな私の悲しい疑問など、専門家には一刀両断で否定されてしまうのでしょうが、
とにかく、後藤さんに生還していただきたかったです。
私も自己責任などとは決して思いません。
危険を犯してでも弱い人たちの現状を訴えようとしていた後藤さんのジャーナリスト魂が、
人々の心に忘れられずに残ることを願います。
本当に悔しいです。
Posted by Sara at 2015年02月02日 03:56
雪あらし。さん、
私は昨日、辛いニュースを知ってから、テレビを見る勇気がありませんでした。
先ほど、雪あらし。さんの、いつもながらの知識と洞察力と人間性にあふれた記事を読ませていただき、
正直に言うと何にも知ろうとしてこなかったのほほん人間の私が、
脅威の組織について、
やっと少し知ろうとする気持ちになりました。

そして、短時間かつ理解力の乏しい頭で少し調べただけで、
急速に巨大化しつつあるその組織の力に茫然となっています。
組織には、雪あらしさん。が書かれたように、不遇な生活レベルにはない様々な国の人間も多く加わり、経済基盤も確立し、今や強大な軍事力を持ち、領土も驚くほど拡大しているのですね。
無知な私には、教科書の世界でしか知らなかった「領土を広げ権威を高めるために戦う」歴史が、
身近に起きている感覚もしてしまいます・・・。
「一番大切なのは命」そんな思いは、きっと嘲笑われてしまうのでしょうね。
どうしても理解できない、土台から全く違う「生」を生きる人間が、
この世にはたくさんいるのだと思い知らされます。
国レベルではなくても、もっと身近にも、相似形?の事件は起きていますね・・・


そして今日は、後藤健二さんのなさってきた活動を知らせる報道が、たくさんされていました。
本当に心ある、素晴らしい方だったと、やっと日本中が知るところとなった・・・
それだけが救いです。

雪あらし。さん、ごめんなさい〜
コメント欄をこんなに・・・(-_-;)
でも、雪あらし。さんのおかげで、わたしのようなのほほん人間でも、
少し知ろうという気になれたこと、
感謝します。
また、勉強させてください。
















Posted by みやび at 2015年02月02日 16:18
ごめんなさい!!今書き込んだのを見たら駄文を連ねた上に、余分な空白・・・どうしてこうなったのか・・・ほんとにごめんなさい〜(-_-;)
Posted by みやび at 2015年02月02日 16:45
今日一日仕事をするのがやっとでした。怒りを覚えます。日本政府は何をしていたのか。ヨルダン政府はこの問題をどのように解釈したか。明確にしてほしいものです。
Posted by 円 at 2015年02月02日 23:16
雪あらしさん、こんばんは。
本当に胸が痛いです。ニュースを聞いた時暗い気持ちになりました。
後藤さんの恐怖は想像を絶するものであったろうと思います。
ひどすぎます。

Posted by 赤鯉 at 2015年02月03日 19:28
★Saraさん、こんばんは♪

報道で後藤さんの殺害を知ってから苦い塊を飲み込んだような気分でいます。
テレビでは、オレンジ色の囚人服を着た後藤さんが映り、その後には必ずと言っていいほどブルーのシャツを着て、カメラを担いだ健康そうな後藤さんが映ります。
それを観ると、胸の奥がぐいっと持ちあがるような辛い気持です。
そして、時間が過ぎて悲しみが憎しみに変わってきました。
こういう形の憎しみにはナショナリズムが入るので要注意と自分でもわかっているのですが。どうすることもできません。

国会で政府の責任が問われています。
とはいえ、自民党が絶対多数なのでたかが知れているのですがー。
その中で(国民には知らされていませんでしたが)二人の邦人がISILに人質となっていることをわかっていて、どうして中東へ出かけ、「私は、ISILと闘う国々に対し、人材開発やインフラ整備などを支援するため総額でおおよそ2億ドルの援助を表明します」と言ったのか、充分に危険が予測できたはずだという追及がありました。
菅官房長官は1日の記者会見で。昨年の8月には湯川さんが人質になっていることを知りながら、これまでの長きに渡り、「(ISILとは直接)接触しなかった」と言っています。
何をやってきたんでしょう。
人質問題でISILから画像が送られてきた以降は、毎日毎日首相官邸でもアンマンでも「情報収集に努めている」「情報分析に努めている」って、研究でもあるまいに。
今まさに日本国民が殺されそうになっているのに、それまで何をしていたのでしょうか。
ISILとの交渉の窓口もなかったのです。

ヨルダンはまったく後藤さんにはノータッチに見えました。
もちろん、ヨルダンは自国の空軍パイロットを無事奪還するという大きな課題があったと思いますが、パイロットの生存確認のためにあれだけの時間が過ぎていたら(もしパイロットが生きていたとしても)殺害されているでしょう。
ヨルダンと日本政府の間にどのような話があったのかは聞こえてきませんが、この恐ろしいゲームの外に日本は置かれてしまっていました。
そして、それを甘んじて受けていたのです。

後藤さんは殺害の数日前にトルコの国境沿いまでISILに連れて来られていたと言います。
パスポートを持ち囚われる前に来ていた服に着替えて来たはずです。
しかし、ヨルダンとの交渉はこう着しそのままISILに戻されました。
その時の絶望を考えると辛いです。
これまで資金援助をしてきた鍵を握るヨルダンは沈黙をし、無能な日本は窓口もなく、「テロに屈せず」に大事な命を失いました。
この虚しさをどうしたいいのでしょうか。

後藤健二さんの酷い映像は早く全て消して彼の功績を残してほしいです。
Posted by 雪あらし。 at 2015年02月03日 20:21
★みやびさん、こんばんは♪

コメント欄は自由に使って下さい(^−^)
ほっこりしました。

さて、みやびさんは北海道新聞をとっていますか?
本日の道新朝刊の「イスラム国」邦人人質事件という記事で二人(東大名誉教授 板垣雄三氏とフリージャーナリストの志葉 玲氏)の特に志葉さんの論文をお時間のある時にでも読んでみて下さい。

Saraさんを初め、円さん、赤鯉さんらコメントを寄せていただいている方は、多分、北海道新聞はとっていないと思うので。
一部です・・・
「後藤さんの犠牲を無駄にしないためにも、なぜ「イスラム国」がはびこったのか考えたい。(略)英紙「ガーディアン」のインタビューに応じたイスラム国構成員は「われわれの存在は米国の刑務所なしにはありえなかった」と語っている。(略)収容所で全裸にしての殴る蹴るの暴行、電気ショックや性的虐待などが繰り返された。私の知人のきょうだいもブッカ収容所に拘束されていたが、米軍への怒りゆえ「過激派の養成所のようだった」(略)」」
とあります。また、フセイン政権時代の軍人や役人もイスラム国に合流しているそうです。

ヨルダンのパイロットがむき出しの下半身にされながら、笑っているISILに引きずられている写真は今回の人質事件で有名になりましたが、性的虐待に対する報復と思うと納得がいきます。

http://blogs.yahoo.co.jp/sharmanqueen/16250417.html

に写真があります。
注:ハードなものがあります<(_ _)> が、こういうことを知るのは必要なことと自分で思って見ています。

フセイン政権からは何も出てきませんでした。
残ったのはアメリカへの怨恨とそこから生まれた「イスラム国(ISIL)」でした。
日本はそのアメリカと同じラインに立ってはいけないと思います。
あくまでも善意の第三者でいること、国際社会の一員として支援を行うこと、そして、十二分に配慮をして発言をすること。
そうしていたら、湯川さんも後藤さんも今も元気であったと思います。

ネットを読むといろいろな意見があって、それもひどい意見があって、デビ夫人のブログでは「私が母親ならあんなふうに助けてくれなんて言わない。切腹してくれればいいと思う」ということを書いてあって、それに「いいな!」と押している人が1万人以上もいて、
考えさせられます。

後藤健二さんの仕事にヒントがあると思います。
本を読んでみようと思っています。
Posted by 雪あらし。 at 2015年02月03日 21:32
★円さん、こんばんは♪

私もだんだんと抑えられない怒りを感じています。
ヨルダンはどのような交渉をしてくれたのか。
米国は安倍首相と電話会談をし、そのたびに「テロには屈しない」と両国がコメントを出し、それがどういう影響をISIL与えたのか。
そして、政府は何をしていたのか。

政府は中東に総額25億ドルの経済支援をし、トルコやヨルダンなど周辺国に2億ドルを無償資金協力をするそうです。日本はヨルダン政府にこれまでも資金協力をしてきました。
日本は保育所もなく高齢者施設も不足しており、他国にこれだけの資金援助をするだけの力はありません。イラク市民救済のための資金援助は当然必要と思いますが、今回のケースに活かされなかったヨルダンへの資金援助の必要性を怒りに任せて考えてしまいます。

ISILのおもうつぼですね・・・。
ごめんなさい<(_ _)>
Posted by 雪あらし。 at 2015年02月03日 22:25
★赤鯉さん、こんばんは♪

後藤健二さんは私たちの想像に絶する辛く絶望的な思いをされたと思います。
本当に助けることは難しかったのでしょうか。
後藤さんのご家族の心痛を思うと言葉もありません。
娘さんたちが将来この事件の経緯を知った時、悲しい思いをすると思いますが、誇りを持って歩いていってほしいです。

今回の日本政府の対応に対して疑問と怒りを感じます。
母は「もう嫌になった」と泣いています。
Posted by 雪あらし。 at 2015年02月03日 22:53
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