2015年01月07日

私はブラック社会福祉法人にいるの巻 番外編その1〜「彼」の現在〜

新年にの妻からメールがあり、会いたいという内容だった。久しぶりに会った彼の妻は、元気そうにしていたが、彼のことを聞くと途端に顔を曇らせた。ざっと話してくれたのは以下の通りであった。*ヒラメとか鬼がわらとか金魚の糞等の言葉は「ブラック社会福祉法人シリーズ」でご確認いただければ幸いです。

彼の妻は、ヒラメことブラック施設長にせっつかれて休日には市内の施設を見て歩いていた。とにかく彼をどこかに移さないといけないという思いで一杯だった。しかし、どれも決め手がなく困っていると、鬼がわら(ケアマネ)の金魚の糞(鬼がわらの子分)が友人のケアマネが担当している施設がある。なかなかしっかりしているケアマネだし今後も相談にのってくれるはずだというので見学をし入居することにした。ところが、そこはサービス付き高齢者住宅で比較的自立度が高い高齢者が入居するマンションのようなところである。夜中でも大声を挙げる彼に他の住人から苦情が出たのは当然にことだった。

「しっかりケアマネ」が間に入り精神病院の受診が行われた。彼は共同生活が可能な治療を受けるために精神病院に入院したが、多量の向精神薬の副作用で急速に状態が悪くなった。現在の彼は要介護5、全粥でミキサー食、ほぼ一日ベッドに横になっている。好きなかりんとうも食べることができず、看護師から、「大人しい方ですねぇ」と褒められている。

彼の妻は、ヒラメに追われるようにしてブラック社会福祉法人を出てきたけれど、もう少し粘って良い施設を探せば良かったと悔やんでいた。ブラック社会福祉法人に入所することがなかったら、今日も彼は元の施設で、「おぉ〜い、おぉ〜い」と叫んで、介護スタッフに、「っもう、静かにしてくださいね!」と怒られながらも、「かりんと!かりんとくれ!」と要求していただろう。妻が悔やむこともなかっただろう。そう思うと、胸の奥に重い石ころが重なっていく。

彼の入院している病院は札幌市郊外に昔からある精神病院である。担当医は冷たい感じの男で、「自分の仕事を信じていないというか、この仕事に飽き飽きしている様子」で、「〇〇さんは重度の認知症だから、日本はこういう薬剤治療しかありませんよ」と言われたと嘆く。「前の施設の相談員は精神病院に入院させたらだめになるから止めたほうがいいと言っていた」と言うと、「それはよい相談員だねぇ。その通りですよ」としゃあしゃあと言っていたという。ならばなぜ入院させるのか、大量の向精神薬を投与して体の芯までデロデロにしてまでいなきゃいけない施設なのだろうか。

一概には言えないが、アメリカでは薬剤は補助的なもので行動療法等のさまざまなアプローチを取りながらカウンセリングは自由診療で行う。精神科医は高額医療費が受け取れるのだ。日本では薬剤の処方が主たる診療報酬になる。体も心も薬漬けにすることが共同生活に可能な治療なのである。

彼の退院が近いらしい。サービス付き高齢者住宅に戻ってもヘルパーがいない時はマンションに一人いるようなものである。しかるべき老人保健施設が妥当だと思うが、しっかりケアマネはどのように考えているのだろう。小さな利権というか、金魚の糞は「彼」という客を紹介したのだろうし、しっかりケアマネがそう簡単にその施設から転居させるとも思えないのである。

ぽちりん↓ありがとうございます。

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この記事へのコメント
もう少し粘って良い施設を探す。は、きっと無理だったように思います。限界を越えていました。
あの法人には、彼の病気を理解する職員があまりにも少なく、そして力がなく、力のある者は追い出すことに必死でしたから。
雪あらしさんの仰るように、あのブラック法人に縁がなければ…と私も思います。
Posted by 介護士マッキー at 2015年01月08日 00:54
★介護士マッキーさん、こんにちわ♪

今となっては私自身にも発言権はないのですが、おっしゃるように全てにおいて力不足でした。
「彼」の妻も、娘さんもこのブログを読んでいるようです。
「自分のことや「彼」のことなのに笑える」とおっしゃっていただきましたが、深刻な話題なので申し訳なく思います。
と言いつつ、書く私です。

Posted by 雪あらし。 at 2015年01月08日 12:06
雪あらしさん、楽しく読ませていただいています。
お騒がせしている彼の娘です。

雪あらしさんには 父、母ともに大変お世話になっていて感謝しています。
あんな父でもこんなに味方になってくれている方々がいるんだなと本当に心強かったです。

精神病院にいってからというもの、今の状況には本当に失望していますが、あきらめも必要なのだなと思い始めています。

今の日本では共同生活ができるようになれば、それで治療が終わりになってしまうのですね。
こちらでは リハビリが活発なように思います。
リハビリをする気がない人は 鬱の傾向があるのではという疑いをもって まず患者の精神をポジティブにもっていくことから始めている傾向に感じます。薬療法といっても そこらへんが日本と違うんだなって思いました。

一度精神病院に入ってしまったのでこれから先は 方向性が見えなくて大変そうですが、父にとって少しでもいいようにしてあげないなと思いっています。。。

Posted by 彼の娘 at 2015年01月09日 14:23
★「彼の娘」さん、こんばんわ♪

本来ならば顔を合わせてご挨拶すべきでしたが、ブログというツールを介しての挨拶になってしまいました。
いろいろとご心配をされていると思います。

お母様からお話を伺っていたので、このブログを読んでいらっしゃると思っていました。
私の仲間が彼に対していろいろなコメントを言っている通り、お父様は優しい人です。
だから、私はヒラメに腹が立ったのです。

娘さんが生活されている国と異なり、日本では薬物療法が主な「治療」になります。
私もこれまでいろいろな精神病院に仕事で行きましたが、どこも同じようなシステムをとっていました。
ですから、最初に行った病院の医師が積極的に薬を減らそうとし、彼から現状を聞き、入院の悪影響を説き、受診で状態が改善されると言ったことに私は期待を持ったのです。
しかし、そのような医者は少ないと思います。

向精神薬は尖った気持ちを抑え込むと同時に、その人の生きる力も可能性も明るさも消していきます。
パワーが出ないためにベッドに横になることも多くなります。
全身の筋力が衰えることは、喉の筋力も下がり、食物を飲み下す力も低下していきます。
今のようにミキサーにかけた食物を食べていては、ますます嚥下機能は落ちていきます。
私も今の状況を悔しい思いでいます。
身内である娘さんの心情はいかばかりと思います。

今後は、お父様が穏やかに生活できるような場が必要になります。
現在住んでいるサービス付き高齢者住宅はヘルパーが来ない時は一人で過ごすことになり、退院後のお父様の様子を確認するには厳しい状況にあると思います。
今後はリハビリを重視した老人保健施設を視野に入れて、病院から直接入居できるように病院のMSW(医療ソーシャルワーカー)にも相談することをお勧めします。

遠くで考えていると心配ばかりが増してくると思います。
お父様は自分でとても楽しく人生を送ったとおっしゃっていました。
好きな食事、お酒、煙草、友人たちと過ごす夜。
「その時は楽しかったんだけどなぁ」
それが大きな塊になって人生を変えることがあります。
それを充分に分かっているようでした。
親は成人になるまでの子の人生に責任がありますが、親の人生に子は責任を持てません。
心配がもとで健康を害さないようにして下さい。

可愛らしいお孫さんの写真を拝見しました。
沢山写真を送って差し上げるとお父様は喜ばれると思います。
一言「がんばって」と書くとそれで十分です。

最後に、前施設の相談員として深く謝罪申し上げます。
コメントありがとうございました。
Posted by 雪あらし。 at 2015年01月10日 15:55
雪あらし様、大変ご無沙汰しております。

「彼」に関しては、私も力不足と反省しています。
精神科の領域もかなり革新してきているのですが・・・残念ながら今回は出会いを活かしきれなかった、繋がりを大切に出来なかったことが悔しいにつきます。

精神科医とは、出会いや個人の相性によっても治療効果に差が出てくるもの。
つまり、薬物一遍通りか、それ以外としてリハビリ(療法含む)を重点的に頑張っている先生も存在しています。出会うこと。そして繋がりを持つことによって「次」を見出されます。
その出会いまでいけたのに、繋がりを継続できなかったのは、正にブラック施設と出会ってしまったためだと結論付けています。

今後の自分の課題に上がりました。
「認知症」が脳神経外科・内科、精神科、神経内科のどの分野が主軸になるかさえ整っていない日本。
札幌での良い評判はあまりないです。というか無いです。
札幌に限定せずに探せたら、いいのですが・・・現実、難しいですね。日本の制度では。
「認知症」の診断をきちんとできない医師もいるくらいだから、そんな現状で自分にあとどんな知識と技が備われば、「次」を迎えられ「繋がり」を作れるのかと勉強していきますわ〜|д゚)
長々と超真面目なコメント・・・ごめんなさい(/ω\)
Posted by 看護師T・A at 2015年01月14日 16:33
★看護師T・Aさん、こんばんわ♪

お久しぶりです。
コメントをありがとうございました。

この件は施設の主治医の紹介でやっと辿りついた点でした。
なかなかいないタイプの精神科医なので、期待したのですが。
相談員としては、その病院で通院していただくことが、その時のカードではベストだと思いました。
家族の反対とヒラメの問題もありでこれはなくなったわけです。
今更、言っても仕方がないことですが、伝え聞く彼の状態が芳しくないので、ついつい考えてしまいます。
本当に点を繋ぐことができませんでした。

本当ですね、認知症の判断もろくにできない医者もいるし、一昔前は判断がつかないから80%がアルツハイマー型でした。
それにしても、今でも「呆けている」とか「痴ほう症」とか言う医者もいますよね。
あれはなんとかならんもんでしょうか。
これに関してはT・Aさんの方が詳しいでしょう。

ブラック社会福祉法人でなんとか頑張っているようですね。
入居者のためにはT・Aさんの存在はありがたいと思いますが、体に気をつけて無理をしないようにして下さい。
ブラック社会福祉法人ではインフルエンザが蔓延しているとか・・・想像するだけで大変な毎日だと思います。
また、コメントをお待ちしています。
(●^o^●)
Posted by 雪あらし。 at 2015年01月18日 21:17
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