2015年03月11日

摘便はお好き?

摘便(てきべん)とは肛門に指をいれて便をかき出す医療行為である。若い時なら便秘になろうとも、うんこが固くなろうとも、自力で「ふん!」と踏ん張れば何とかなる。そういうのはトイレで繰り広げられる一人の世界だ。うんことは実に個人的なものである。

が、高齢になると肛門付近まで便が来ていても、いろんな理由から力むことができなくなる。看護師は医療用のグローブを着用し、グリセリンなどの潤滑油を指につけて肛門に挿入する。これはプレイではなく、生命にかかわる医療行為である。年を取るとうんこで他人を巻き込むことになるのだ。食べたら出すのが「人間だもの(みつを)」なのである。

アルバイト先のグループホームには100歳超えの高齢女性がいる。彼女のパッドに血液が付着していると何回か申し送りがされていた。家族は、直腸にせよ婦人科にせよ、検査をしても苦しいばかりなので静かに生活させたいと希望していた。家族としては当然の判断だ。それでも、職員が持ってきた血液が付着したパッドを見た時に何が原因なんだろうと暗い気持ちになっていた。

最近、リーダー格の男性職員がこの超高齢女性に摘便していることを知った。他の職員は皆知っていたようだった。リーダー格は前任ケアマネの書いた文章の打ち間違い部分に二重線を引き直し自分の訂正印を押すという面白いことをやる人で、私はひそかに「訂正印」と呼んでいた。万事につけよく気がつく人間であり、人当たりも良い。歯を出して笑顔のままで彼は、「今、摘便したら、ちょっと出血しちゃって、ちゃあんとオリーブオイルつけたのに」と同僚に話していた。

看護師でも摘便は難しいという。粘膜は傷つきやすく、ちょっとしたことで出血するのである。それに認知症高齢者であっても肛門に他人の指を入れられるのはストレスだろう。ましてや男性介護者だ。心にもやもやとした思いが湧く。

昨日はフロア会議だったので、摘便は医療行為で介護職員が自分の判断で単独で行うのは違法だと話した。驚いたのは医療行為と知らずにいた人がほとんどだったことだ。「訂正印」が笑顔で言うには、超高齢女性を3日間隔で摘便していたという。この高齢者女性は、訂正印が自分で設けた3日間ルールでうんこをほじられて出血していたのである。グループホームには1週間に一度、医者も看護師も来る。今後は医者や看護師と相談しながら排便コントロールを考えましょうと話しが終わった。

話は終わったが、何か気鬱になった。看護師でもない彼は寝たきりの若い女性の肛門に指を入れないだろう。高齢者だから行ったのだろうか。出血したことをどうして摘便と結びつけなかったのだろうか。個室にこもって一人で行う3日間ごとの摘便。大変だったろうご苦労様とは思わない。なにかが鈍く、なにかがおかしい。

ぽちりん↓ありがとうございます。

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posted by 雪あらし。 at 19:40| Comment(2) | TrackBack(1) | グループホームって? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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