2015年03月03日

須田桃子著『捏造の科学者 スタップ細胞事件』 / 小保方晴子氏の顔面力

捏造の科学者 STAP細胞事件 -
捏造の科学者 STAP細胞事件 -

本著は毎日新聞科学環境部に所属する須藤桃子記者が受け取った笹井芳樹氏の記者会見招待メールから始まる。山中教授のIPS細胞よりも衝撃的と言われた「STAP細胞」は、小保方晴子氏、笹井芳樹氏、若山輝彦氏が並ぶ華やかな会見から幕が開いた。と思ったら、その僅か2週間後にほころびが出た。ネィチャーに掲載された論文に疑義が生じたのだ。そして、世界の科学者たちが何度追試をしても、STAP細胞は誰も作ることができなかったのである。

本著は全12章から成っている。STAP細胞由来(と呼ばれた)のキメラマウスが緑に光る写真も掲載され、妙ちくりんなネズミの絵が書かれた子どものお絵書き帳のような実験ノートを撮った写真というお宝付きである。STAP細胞については、早稲田大学理工学研究所で修士を取得している著者の須藤記者が懇切丁寧に説明してくれているのでなにも心配はいらない。

さて、STAP細胞はES細胞が混入されたものとほぼ結論されているらしい。そして、そのES細胞は若山研から盗まれたもののようだ。そこまでやらかしてしまった小保方晴子氏は「本来、懲戒免職であるが、すでに退職しているので懲戒免職相当」(理研)で終わっている。

小保方晴子氏は決して美人タイプではないが魅力的な人なんだそうだ。若山氏は、「ボクのシンデレラ」と呼び、笹井氏は、「ボクは彼女のケビンコスナー(ボディガード)」と臆面もなく言っている。STAP細胞疑惑で日本中に激震が走っている時にも、「おぼちゃんを励ます会」なるものが理研のお偉方を中心に開かれていたそうだ。笑顔が眩しい(妖しい)ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授が言った、「晴子は天使だ」も有名な話だ。

チャールズ・バカンティ教授.png
チャールズ・バカンティ教授。小保方晴子氏はチャールズ・エンジェルと呼ばれていた。

小保方氏を擁護するのは、理研のおじさまたちだけではない。新橋のサラリーマンだってそうだ。インタビューで、「彼女はやっていない。顔を見たらわかる」と、論理性に欠けることを言うのである。確かに新橋リーマンは酔ってはいた。それではと、「たかじんのなんとかというテレビ」を観てみると、やはり「あの顔はそんなことのできる顔ではない」と言い切っているコメンテーター(竹田)がいて驚いたのである。おまけに「もういいじゃないですか。かわいそうだ」とまで言うのである。国家予算を使い、嘘だらけの論文を発表して科学コミュニティのみならず、世間を騒がせた事件でもあるにもかかわらず小保方氏はがっちりと守られているのである。

皆さんはご記憶にあるだろうか。森口 尚史を。☟

森口 尚史.png

「IPS細胞を使った世界初の心筋移植手術を実施した」と大ボラを吹いた人である。日本国民は彼の顔を見てすぐに袋叩きを始めた。小保方氏の悪事に比べれば、森口氏はまだマシであるが、この違いはなんだろう。STAP細胞の記者会見を思い出そう。笹井氏の横に座る人物が髪を盛った可愛い系女子ではなく、禿の中年系男子だったらどうだったか。小保方氏ではなくメガネをかけた研究一筋の中年女だったらどうだったか。木嶋佳苗だったらどうなったのだ。

日本国民のほとんどが科学なんてちんぷんかんぷんなのである。小難しい科学のお話を聞くよりも小保方氏の割烹着の方が視聴率を稼げるのだ。マスコミだって科学の力なんかどうでもいいのだ。

さて、この本に戻ろう。読んで驚くのは小保方晴子氏の節操のなさである。博士論文は米国立衛生研究所のWEBサイトからのコピペ(コピー&ペースト)や画像の流用など、少なくとも26か所の問題点があったという。「小保方さんという人はそうとうなんでもする人ですよ」とはある研究者の弁だ。

釈明会見では、新橋系リーマンと理系おやじの両方の目を意識したバーバリーの紺のワンピを着てきた。全身に辛さと悲しみと申し訳なさと、そして男たちの庇護を必要として小さく震える小保方さんであった。「STAP細胞はありまぁす」と目を見開いて言いきった。甘く切ない声で言いきった。女性経験の乏しい男はこの目でこの声でだまくらかされるだろう。困ったものである。

この本を読めばそういう困った男たちも、「なるほど、これほどのことをやらかしたのって一体どういうことだい?」と次のステップに進めるのである。「どうして笹井氏ほどの人が見破れなかったのか?」と誰もがしばし考えるであろう。ノーベル賞を受賞した山中教授への嫉妬と必死の挽回に事の本質が見えなくなったのか。小保方氏への愛による盲目的信用だったのだろうか。それとも、その両方だったのか。

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posted by 雪あらし。 at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 趣味は読書なのである。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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